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Publication date: 27 Aug 2024

最新の国内第3のプラットフォーム市場予測を発表

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Japan, 2024年8月27日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、国内第3のプラットフォーム市場(※)を調査し、2024年~2028年の市場予測を発表しました。本調査によると、2024年の国内第3のプラットフォーム市場の市場規模(支出額ベース)は、23兆6,895億円、前年比成長率は7.9%になると予測しています。地政学的な不確実性の高まりやインフレを契機とする経済悪化のリスクといった不安要素はあるものの、レジリエンシー強化や脱炭素化の取り組みに積極的な産業や企業が牽引する形でデジタルビジネス向け投資が継続するとみています。2028年には27兆9,327億円に達して、2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.9%になると予測します。

同市場を産業分野別に分析すると、2024年は国内の経済活動が年間を通じて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大前の水準に回復し、COVID-19が収束した後も抑制的な投資状況となっていた「小売」「運輸」「個人向けサービス」などにおける第3のプラットフォームへの支出額も二桁成長となると予測します。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計によると、2024年2月の訪日外客数は過去最高となりました。COVID-19以前のレベルに戻っていない中国からのインバウンドの回復を含めて経済活動がより活性化することで、小売、運輸、個人向けサービス業を中心に、消費者を対象とする企業の業績改善が見込まれます。財務状況の改善に支えられる形で、2024年~2025年はこれらの産業分野を中心として、顧客エクスペリエンスに重点を置いたパーソナル化施策や、オムニチャネルコマースプラットフォーム構築に向けた投資が活発化すると予測します。

金融分野においては、多くの銀行がスマートフォンアプリ開発による非対面チャネルの強化や、Generative AI(生成AI)を含むAIを活用した業務効率化の取り組みを進めているほか、新しいビジネスモデル展開も開始されています。特に銀行では自社の顧客基盤、データを活用した他の産業分野との連携や、BaaS(Banking as a Service)/組み込み型金融といった自社ビジネスの提供が広がっており、これらの取り組みを支えるテクノロジー投資の拡大が見込まれます。

第3のプラットフォームへの支出規模が最も大きく、これまで高い成長率を示してきた製造分野は、2024年以降は他の産業分野と比較するとやや低い成長率になると予測します。ただし、サプライチェーンや工場のOT(Operational Technology)領域などにおけるデジタルレジリエンシーの強化意識は強く、また脱炭素化/GX(Green Transformation)の取り組みが現在の想定以上に広く、早く進むことで、2024年以降の成長率を上振れさせる可能性があります。

「中央官庁」「地方自治体」においては、デジタル庁が主導するデジタルガバメント政策に基づく情報連携基盤の整備、デジタルサービスの拡充や、地方自治体における業務システムの標準化/共通化が進んでいます。2025年度末(2026年3月)の期限までに標準化対応が完了する自治体におけるIT支出は落ち着く一方、標準化対応から解放される人的リソースを活用した各自治体独自のデジタル施策が活発化すると考えられ、2026年以降も第3のプラットフォーム向け支出はプラス成長を維持すると予測します。

IDC Japan株式会社 Verticals & Cross Technologiesのリサーチマネージャーである敷田 康 は、建設業や運輸業において、業務の特性や取引慣行の課題があることから猶予されていた時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されることになったことを踏まえて、「これらの事業者においては、現場の作業員だけでなく、企業全体で残業時間の削減意識が高まると考えられる。ITサプライヤーは、これまで『コスト削減』や『安全性の確保』などを一義的な目的としていたソリューションを含めて『残業時間削減への寄与』という観点からレビューし、EX(Employee Experience:従業員エクスペリエンス)ソリューション事業の機会拡大を追求すべきである」と述べています。

※ここでの「第3のプラットフォーム市場」には、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術の4つの主要技術(4ピラー)から構成される技術プラットフォームと、4ピラー上に展開され事業成長を促進する技術となる「イノベーションアクセラレーター」としてIDCが定義する、AI、AR/VR、IoT、ロボティクス、3Dプリンティング、次世代セキュリティ、ブロックチェーンの7つの技術のうち、従来のICT市場に該当するハードウェア、ソフトウェア、サービス、通信サービスが含まれます。

今回の発表はIDCが発行したレポート「国内第 3 のプラットフォーム市場 産業分野別/企業規模別予測、 2024 年~ 2028 年 」にその詳細が報告されています。本レポートは、国内の産業を17種類の企業、および中央官庁、地方自治体、教育、消費者の4種類の非企業の計21の産業分野に分類し、それぞれの第3のプラットフォーム支出額実績と予測を記載しています。

本市場予測では、IDCが国内市場について想定した以下の国内経済に対する影響および見通しに基づき、市場予測を行っています。

「複数のリスク要因による下押し圧力の中で、国内経済活動は緩やかな回復を続ける。国内でのサービス消費や成長分野への投資の拡大、経済対策の実施、および賃金上昇の広がりによって、日本の前年比経済成長率は2023年に2.0%、2024年に0.6%となり、2023年に経済活動がCOVID-19の感染拡大前の水準に回復する。金融政策変更に伴う金利上昇、生活費の増加、人手不足といった国内要因に加え、世界経済の減速懸念、地域紛争などの地政学的な不確実性の高まりといった下振れ要因によって、2023年から2027年にかけて平均で前年比1.1%増程度のGDP成長を見込む。人口減少は消費、投資意欲を抑制し、中長期の経済成長を阻害する主要因となる」

(レポートの詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)



<参考資料>

国内第3のプラットフォーム市場 支出額予測: 2023年~2028年





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